MURDER for Twoを見てきた話

MURDER for Two観劇感想、そして日記。

ご縁があり、諦めていたMfTを観劇することが出来た。前日はなんとなくそわそわしたり、お昼寝をした影響で全く眠れず、睡魔に襲われたのは結局4時を過ぎた頃。
朝5時、かけていたアラームが弱々しく鳴る。朝洗濯物を干してから出かけようと思ってのこの時間だ。結局起きたのは6時半。洗濯は出来なかった。


世田谷パブリックシアターは、三軒茶屋駅から外に出ることなく行くことが出来た。キャロットタワー内にある会場は、外から見ただけではこれからミュージカルという夢を見る場所には見えなかった。


劇が始まって、坂本くんの第一声を聞いた瞬間に、鳥肌がぞわぞわと押し寄せる。そこに居たのは坂本昌行ではなく、ダーリアだった。眼鏡をかけ、腰を悪くしたとにかく喧しい年配の女性がそこにいた。
かと思えば、老いた精神科医だったり、また次の瞬間には天真爛漫な女子大学院生だった。
声の出し方から顔つき、立ち方振る舞い方から全て違う人物だった。

初めのうちはテンポに着いていくのに必死で、そしてなにより10何人いる登場人物がなかなか覚えられなかったのだが、すぐに慣れた。小気味よいテンポで進む物語は、1秒1秒が全て計算し尽くしているようで、少しだけ「余り」の時間があった。計算から敢えて漏らしたであろう「余り」の時間で、ほっと息をつく。
じいっと息を詰めながら覗いていたオペラグラスを少しの間膝に置き、坂本くんと松尾さんの掛け合いをただ楽しむ。メタフィクション的発言・言動も間に挟まれているのがまた面白かった。

物語も終盤になると、もう坂本くんではなく、ダーリアやステフ、ブランドン夫婦、バレットやドクター・グリフにしか見えなくなっている。元の顔は坂本くんのはずなのに、ステフにしか見えないのだ。
それは松尾さん演じるマーカスの、例えばバレットとダーリアとでもだいぶ違う話し方でも、くっきりと人物の輪郭が縁取られていたように思う。
舞台上には2人しか居ないのに、とにかくそれ以上に騒がしかった。

様々なインタビューで、「観客のイマジネーションに頼る」と言っていたが、考えるよりも早く、スッと風景と人物が思い浮かべられた。
そして風景と人物が自然に浮かんだことに遅れて気づき、とんでもない舞台を見ていることを実感した。
終わり方も好きだ。また見たいと思う舞台だった。


↑ここまで真面目につつつっと書いたけど、正直なところステフが可愛すぎてずっとキュンキュンしてました。少女漫画の主人公のような愛らしさを、44歳男性から感じました。

そういえば岡田さんが感激なさっていた日で、真っ黒いシャツを着た岡田さんは想像よりも小さめなのをここにメモしておきます。


観劇後、One Dishで紹介されていた、祐天寺のGELATERIA ACQUOLINAさんにお邪魔して、ローリエとカシスのジェラートをいただいてきました。坂本くんの言っていた通り、ほんのり香るとかではなくダイレクトに葉の香りがしてとても美味しかったです。
おらの村にこんなアイス屋さんないだ!田舎っぺは感動しました。

次は浅草の濃い抹茶のアイス食べたいです。(冷たいやつは全部アイスと呼ぶ程度の女子力)

フォエプラ見てきた話

ネタバレは公式サイトに乗っている程度だと思いますが、嫌な方は避けてください。



5月15日、隣県の籠原駅へと降り立った。噂に聞くフォーエバープラッドのチケットを握りしめて。


空は晴れ、暑いくらいの陽気の中、浮き足立ったオタクはヒールを鳴らしながら熊谷文化創造館への道を歩いた。思ったより近かった。道はほぼ真っ直ぐ、方向音痴だが迷わずに着いた。
会場に着くまでに、同じ舞台を見に来たであろう人を何人も見かける。駅にポスターと横断幕が貼ってある。赤いプラッド柄のポスターが可愛い。それだけでオタクはそわそわした。

会場に着き、列の最後尾へ並んだ。グッズは入場してから購入するらしい。パンフレットと缶バッジを購入したかったが、缶バッジのイラストの方が完売だった為、赤い文字入りの缶バッジと、青いハンドタオルを購入した。価格が安くて驚いた。


列に並んでいる間に「お待たせ致しました、開場となりまーす」という声と共に扉が開けられた。
そこから流れ出てくるホール内の冷たい空気、独特の匂い。中を見れば少しレトロなショーの装置のようなセットと、4本のマイクスタンドが見えた。
これからこの舞台を見るんだ、と実感して、わくわくとドキドキが止まらなくて、ぞわぞわと背筋に冷たい何かが走り鳥肌が立った。久々にこの感覚を味わった。

席は、ネタバレ防止の為なにも言えないが、とても良かった。頭が真っ白になった。


舞台はなにも言うことがないくらいに楽しかった。Twitterにも書いたが、「ミュージカル」を見に来ているのではなく、「プラッズのライブ」を見に来ていたのだ。52年前に果たすことの出来なかった彼らのライブを見ていた。
これもまたTwitterに書いたが、彼らは死んでいるんだった、という事実がコミカルにもシリアスにも描かれていた。
生きていないはずの彼らの楽しい、嬉しい、といった感情はホールの高い天井の中で増幅しながら伝わり、切ない、悲しい、やりきれないといった感情はその広い空間を切り裂くように伝わって来た。4人は2時間だけは生きていた。


笑いながら、手を叩きながら、涙をほろりと零しながら、濃密な2時間を過ごした。
ジャニーズの方がいる場所に初めて行ったが、初めてがここで良かったと心から思った。
お茶の間で良いと思っていたが、やはり行けば楽しかった。


ふわふわとした足どりで駅までの道を戻る。靴擦れが痛むが、そんなものは気にならなかった(後からバスに乗っておけばよかったと後悔したが)。この楽しくて幸せでまあるい気持ちをジップロックで包んで急速冷凍したかった。

坂本くんがTVガイドで「長野は良い役と出会えた」と答えていたのを思い出す。まさにその通りだと思った。長野くんは良い役、そして良い舞台、良い仲間と出会えたと端からも感じられる舞台だった。


5月末のチケットも取ってしまったので、この度急速冷凍した気持ちとはまた違うジップロックに色々と詰めてくる予定だ。



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